ノーベル賞を創設した人がノーベルであることは誰もが知っていますが……
それ以上のことをどこまで知っていますか?
❓ なぜノーベルはノーベル賞を創ったの?
❓ ノーベル賞はどのように創られたの?
子どもや孫から聞かれたら答えることができますか?
ノーベルとノーベル賞の知られざる物語は、あなたとあなたの家族が後悔しない人生を送るヒントになるかもしれません。
WHY?ノーベルは大金持ちになったのか
もともと彼の父親の代から一家で爆発物の製造を生業としており、主に戦争で使われる砲弾などで大きな利益を上げていました。
そのような父の会社を兄弟とともに受け継いだノーベルは、何かを発明して、特許を取得し、全世界で独占的に販売して莫大な利益を上げました。それは、何でしょうか? ・ ・ ・ ・ ・ ・
それは、ダイナマイトです!
しかし、ニトログリセリンは爆発力は強いものの、液体であったために、揺らすと爆発する性質があるため、運搬と取扱いがとても難しく、さらに爆発させたいときに爆発しないなど信頼性も高くありませんでした。
そこで、彼はこのニトログリセリンを安定しさせて信頼性の高い爆発物にすべく研究を重ねました。
さまざまな実験を重ねた結果、珪藻土にニトログリセリンを染み込ませると、揺らしても爆発しない安定した爆発物になることがわかりました。これを紙に巻いて筒状にしてダイナマイトと自ら命名したのです。
そして、もうひとつのネックであった爆発の信頼性を高めるために、雷管を発明します。その双方を世界中で特許を取得し、販売しました。
雷管をセットしたダイナマイトは非常に強力で、安定性が高く信頼性の高い爆発物となり、戦争だけはなく、民生用としても発破として大いに活用されました。
現在でもダイナマイトを使用した発破は、様々な土木工事や鉱山で使用されています。
このように、ノーベルはダイナマイトによって世界的な大企業の経営者兼発明家として、大金持ちの仲間入りをしたのです。
問題はそのお金の使い道となるのです。
WHY? ノーベルはノーベル賞を創設したのか?
お金持ちがすべてノーベル賞のような基金を設立するわけではありません。
なぜノーベルがノーベル賞を創ったのでしょうか?
ノーベルがノーベル賞を創設しようと考えた理由は2つあるとされています。
最も大きいのが、
誤報事件……だと考えられています。
誤報事件は一緒に会社を経営していた兄リュトビックの死亡が原因です。
ノーベルは新聞を見て大いに驚きます。兄のリュトビックが死んだのではなく、自分アルフレッドが死んだと報じられていたのです。
しかし、彼が驚いたのは自分が死んだとされた人違いのことではありません。
死んだとされた自分自身に対する肩書きです。
「武器商人」
「死の商人」
記事には、爆発物の製造メーカーであった彼の会社の製品で、多くの人が命を落としたことが書かれた上に、彼には「死の商人」「武器商人」などと肩書きが付されていたのです。
彼の会社は銃の弾薬、大砲の砲弾に使用する火薬などを大量に製造して販売していましたし、ダイナマイトも民生利用だけでなく、戦争にも大量に使われましたから、世間が彼のことを死の商人だと考えていたこと自体は何ら不思議ではありません。
生きている間は、表だってそのように書かれることがなかったのですが、死んだとなると、マスコミが正直な世評を載せることによって、自分に対する社会的な評価をハッキリと認識させられてしまったのです。
ノーベルは、いずれ「死の商人」「武器商人」という評価を挽回しなければならない立場に追い込まれたのです。
meme(知的遺伝子)と相続人
ノーベルに好きな女性がいなかったわけではありませんが、結果として結婚しなかった彼には、子どもがいませんでした。
この事実は2つの問題の起点となります。第一は、gene(遺伝子)が残らない彼は一層meme(知的遺伝子)を残したいと思ったことでしょう。第2に、子ども(相続人)がいないノーベルの莫大な財産をどうするかです。
甥や姪はいましたが、相続させる義理を微塵も感じていなかったようです。相続人の不在は,ノーベルにその莫大な財産の使い道を考えさせることになったのです。
ノーベルの最後の発明としてのノーベル賞
爆発物の製造メーカー、すなわち「死の商人」、「武器商人」であったノーベルがしていなかったのは、平和と社会への貢献でした。
しかも、莫大な財産をもちながら相続させる家族がいなかったため、この財産は彼自身で使い切ることができました。
そこで、様々な発明を行ってきたノーベルが最後に発明したのがノーベル賞だったのです。
ノーベルの最後の発明の骨子
1️⃣ ノーベル賞を創設して、次の5つの分野において世界に貢献した人物を表彰し、莫大な賞金を与えることによって社会の発展に寄与する
①科学、②物理、③医学・生理学、④文学、⑤平和
2️⃣ ノーベル賞運営に必要な資金は自分が有する財産のほとんどを新設するノーベル財団に寄贈し、財団にその財産を運用させ、その金利と配当金等を賞金に充てる。その結果、元本は減らさずに永続的な仕組みとする。
☞ この大義は、授賞者のみならず、全世界の人々の共感を得ることができるであろう。
☞ ノーベル賞を創設した者として、武器商人ではなく、社会に貢献した偉人として永遠にたたえられる存在となる。
以上がノーベルの最後の発明の意図でした。
アイデアを思いつくのはさほど難しいことではありません。
問題は如何にしてそのアイデアの実現に着手するか?
如何にしてそのアイデアを実現するかなのです。
予期的後悔 ノーベル賞を創らなかったら、将来後悔するだろうか?
「あれをしておけばよかった……」
「これもやりたかった……」
思いついていたにもかかわらず、実行するという選択肢を採らなかった場合の嘆息です。
後悔先に立たずと言いますが、後悔は以前になした自分の選択に対する感情です。そして、後悔する原因のほとんどは不作為、すなわちしなかった後悔です。
一方、事前に後悔をすることも可能です。
「もし、今○○をしなかったら、自分は将来後悔することになるだろうか?」
実際には生じていない将来を想像する反実仮想の能力を使うことができれば、将来するであろう後悔を事前にすることができます。
それが、予期的後悔です。
ノーベルは、国際的なコングロマリットの経営者であり、発明家であり大変忙しかった上に、持病に心臓病があったため、体況は思わしくありませんでした。そのような環境の下でノーベル賞を創り出すには強い意思が必要であったはずです。
ノーベルは武器商人の汚名を晴らし、自分の名前を不朽のものにするには、ノーベル賞を創らなかったら後悔するであろうと、予期的後悔をする能力があったのであり、予期的後悔をしたのでしょう。
遺言の力
ノーベル賞の授賞式にノーベルが参列して、自らメダルを受賞者に渡したことは一度もありません。
ノーベル財団とノーベル賞は、彼の死後にできたのです。
それは、遺言の力です。
間に合わせたノーベル
ノーベルは2回遺言を書き換えています。
3回目の遺言に署名したのが、1895年11月27日です。
そして、その遺言は1896年8月に銀行に保管されたのです。
ノーベルは1896年12月7日に脳梗塞で倒れ、10日に亡くなります。
遺言が完成したのは、彼の死からわずか1年前であり、銀行に保管されたのはわずか4ヵ月前のことに過ぎません。
きわどいタイミングであったと言えるでしょう。
しかし、ノーベルは間に合わせたのです。
「死の商人」の汚名を返上したいという意図があり、
ノーベル賞という素晴らしいアイデアを思いつき、
ノーベル基金に遺贈する莫大な財産を持ち、
いずれ実現しようと考えていたとしても、
死ぬ前に、あるいは生きていたとしても意思能力があるうちに、遺言を書かなければ、ノーベル賞の受賞式を私たちが目にすることはなかったでしょう。
実行されないアイデアはなかったのと同じです。
それは、ノーベル賞に限りません
だから、間に合うか間にあわないか?
それが問題なのです!
これが、ノーベルが私たちに遺したもうひとつのメッセージではないでしょうか。
ノーベルが間にあうように遺言を書いた結果
毎年12月10日にストックホルムおよびオスロにて授賞式が行われますが、10月の受賞者の発表の時点から全世界がノーベル賞の行方に注目し、賞の名称とされたノーベルの名前が連呼されるのです。
12月10日は彼の命日です。
ノーベル賞の授賞式は、その日がノーベルの命日であることを全世界の人々に思いださせます。ノーベル賞の授賞式はあたかも毎年行われるアルフレッド・ノーベルの法事であるかのようです。
もはや彼が武器商人だったという人はいません。
アルフレッド・ノーベルは見事にその意図を実現したのです。
彼の意思を実現するために彼が人生の終末期に書いた遺言は大きな役割を果たしました。
ノーベルは後悔のない人生を送ったと言えるのではないでしょうか。
以上がノーベル賞と遺言の関係です。いかがでしたでしょうか?
あなたの心の中にいるノーベル
最後に、問題なのはノーベルではなく、あなたが間に合わせたいことは何か?ということです。
人生は一度きりです。
人生の終末期に後悔しても取り返しがつきません。
「もし、今○○をしなかったら、自分は将来後悔することになるだろうか?」
ノーベルにとって、○○はノーベル賞の創設でしたが、あなたにとって○○は何でしょうか?
すでに、○○が明らかな人はそれに着手すればよいでしょう。
しかし、○○が見あたらない人は予期的後悔のしようがありません。
100年の人生を俯瞰して予期的な後悔をする方法があるとしたら、試してみたいですか?
もちろんある程度の費用と時間は必要です。
もし、100年の人生を俯瞰して予期的後悔をしてみたいと思ったら、Happy Ending カードをプレイしてみてください。
あなたがやり残していることにいくつも気づくはずです。
・死ぬまでに実現したいことを創る。しかし、アイデアを思いついただけでは実行に結びつかない……
・さらに、思いついたアイデアを実現した場合の変化を反実仮想して感じてみる
・その上に、「もし、今○○をしなかったら、自分は将来後悔することになるだろうか?」と予期的後悔をしてみる
・反実仮想と予期的効果をした上で実現したくなったら、実現に向けて即着手する
🎯 実現したいことが見つからなければ、Happy Ending カードをプレイしてみる