フレームとフレーミングとは何か?
フレーミングとは、意思決定をするために必要なフレームを選び、選択肢を引き出すための意識的な行為です。目標があって、その目標を達成したいと考える際には、適切なフレームを選択して合理的に意思決定を進める必要があります。
実はフレームそのものは、フレームと呼んでいないとしても、誰もが無意識に使っています。しかし、この記事を読んで確認してもらいたいのは、あなたが達成したい目標があるときに正しいフレームを漏れなく、意識的に使って意思決定をしているか否かなのです。
度の合わないメガネを掛けるように、誤ったフレーム、あるいは使用期限切れのフレームであるにもかかわらず、使っていれば、目標達成はおろか、後悔に向かって進んでしまうリスクもあるのです。
フレームは適確な意思決定をするための窓です。
何ごとも負荷のない直観で判断してしまう習慣が身についています。
チンパンジー以下の動物はそれで気楽に暮らすことができますが、あいにくあなたは人間に生まれてしまいました……
人間はほんの少しですが、将来を予測しようと思えばできる意識を持っているのです。
フレームの選択から合理的な意思決定のプロセスを進めるのは面倒であり、脳にかなり負荷をかける作業ですが、人間として生きて行こうと思うのであれば、人生を左右するような重要な意思決定の際には意識して使用した方が後悔が少ないでしょう。
ケース:大学受験を控えた幸一君
今年大学受験をしたものの、志望校A大学に不合格となってしまい、浪人して再度来年A大学への合格を目指そうとする幸一君のケースを考えてみましょう。
高校3年生の幸一君は、「A大学に入学する」という目標を掲げていました。彼は「自分の人生は自分で決定し、変えることができる」というメンタルモデルを持ち、主体的に進路を考えていました。
残念ながら、A大学は不合格となり、浪人して翌年再度A大学を目指すことにしました。そこで、彼はA大学に進学した高校の先輩に相談しに行ったのです。
幸一君の問題点:適切なフレームの欠如
A大学に進学した先輩は、合格という目標の達成に検討が必要なフレームがあり、幸一君にはそれが欠けていたのではないかと次のようにアドバイスをしたのです。
1.勉強計画のフレームがない
幸一君は「努力すれば合格できる」と信じていたが、どの科目にどのくらいの時間を割くべきか、弱点分野をどう克服するかという具体的な計画を立てるフレームがなかったため、得意科目ばかりに時間を費やし、苦手な数学や英語の成績が伸びず、合格ラインに届かなかった。
2.情報収集のフレームがない
A大学の試験形式や配点、過去問の傾向など、戦略を立てるための基本的な情報を十分に収集していなかった結果、出題傾向に合わない勉強をしてしまい、学習効率が悪くなっていた。
3.競争環境を理解するフレームがない
A大学の合格難易度や、他の受験生の学力レベルについて具体的に調査せず、「なんとかなる」という漠然とした自信に頼っていた結果、本番で他の受験生と自分の実力差を痛感し、プレッシャーで実力を発揮できなくなっていた。
4.優先順位をつけるフレームがない
部活やアルバイト、友人との付き合いを全て「やりたいこと」として優先し、受験勉強への集中力が分散してしまい、限られた時間を有効活用できず、試験直前に慌てる状況となった。
5.モチベーション管理のフレームがない
「A大学に入りたい」という目標を持ちながら、日々の勉強の辛さに負けて挫折しそうになるたびに、目標を忘れてしまった結果、途中で計画が途切れ、継続的な努力を怠りがちとなった。
先輩からの受験で検討すべきフレームのアドバイスを受けてその通りだと思った幸一君が2度目の受験に対して用意しようとしたフレームは以下の通りです。
フレームを通して幸一君が検討した対策
1.勉強計画フレーム
「得意科目は維持、苦手科目に時間を割く」など、科目別の優先順位と具体的な勉強時間配分を設ける。
2.競争環境理解フレーム
模試の成績を分析し、志望校の合格ラインとの差を明確化する。また、他の受験生の学習量やペースを参考にする。
3.優先順位フレーム
「受験勉強を最優先する期間」として生活全体の優先順位を整理する。友人との付き合いやアルバイトを一時的に減らすことを検討。
4.情報収集フレーム
A大学の試験科目、出題形式、配点を把握し、それに基づいた勉強計画を立てる。
5.モチベーション維持フレーム
目標達成後の自分を具体的にイメージする(Aのキャンパスライフを想像する、先輩の体験談を聞くなど)。また、小さな成功体験を積み重ねる。
適切なフレームを選択すると、そのフレームを通じて解決すべき課題がより明確になります。
幸一君が特に重視した情報収集のフレーム
情報収集のフレームの重要性に気づいた幸一君は情報収集のフレームをさらに次のようにブレイクダウンしました。フレーム内のフレームです。
適確なフレームを使うと意思決定に必要な選択肢を引き出し易くなります。
1.目標設定に必要な情報
<1>A大学の学部や入試科目、配点、試験形式など。
<2>自分の学力と目標ラインとの差を知るための模試データ。
<3>過去問を分析して傾向を掴む。
2.学習計画を立てるための情報
<1>科目ごとの重要テーマ(例:英語の長文読解、数学の確率問題など)。
<2>合格者の成功体験や勉強法の情報。
<3>Aの試験特有の注意点(例:問題文の長さ、選択肢のひねり具合)。
3.受験環境やリソースに関する情報
<1>効果的な参考書や問題集の選び方。
<2>志望校に特化した塾や予備校のカリキュラム。
<3>インターネットやSNSを活用した情報収集。
4.タイムマネジメントの情報
<1>受験日程、出願締め切り、模試スケジュール。
<2>試験までにどのように時間を使うべきかの指針。
受験に適確なフレームを使うと意思決定に必要な選択肢が明確に浮かび上がってきます。
幸一君がフレーミングを意識して意思決定をした効果
幸一君は、目標だけを掲げて漠然と勉強を続けたものの、具体的な戦略を欠いているため効率が悪く、試験直前に時間が足りなくなり、実力を発揮できなかったことを後悔しました。
しかし、先輩のアドバイスを元に適切なフレームを検討したことで、効率的かつ計画的に勉強を進められるようになったのです。
結果として、翌年志望したA大学に合格しただけでなく、受験を通じて目標を達成するためのフレームの選択とプロセスの大切さを学ぶことができました。
幸一君はその後どのような人生を送ったでしょうか?
フレーミングが必要なのは受験だけではないと思いませんか?
フレーミングの効果
なぜ、フレームを意識し、フレームを通して意思決定を進めると、適確な意思決定をすすめることができるのでしょうか?
1.重要な部分に思考を集中させることができるから
人間の頭の中には複数の無意識の思考プロセスが並列的に進行しています。フレームはその中で直列的思考を行う意識に資源を集中させる効果を発揮します。
2.目の前にないことを思い描くことが可能になるから
フレームの窓を通じて今目の前にない将来を想像するのが容易になります。また、現状を冷静に把握することにも繋がります。
3.現実のどの側面に焦点を当てるかに合わせて適用するフレームを選ぶことができるから
フレームはモノの見方です。検討する事象をフレームを替えて見ることによってリスクを多元的に、その影響度の大きさを立体的に理解することができます。下図は医療を受けるリスクを①治療費②医療同意③介護という3つのフレームから見ることによって3つのフレームの関連と統合したリスク対策の必要性に気づくことができます。
4.検討する範囲を限定して検討することができるから
人間の想像力は無限です。しかし、検討範囲をあまりにも広く拡げてしまうと、注意は拡散し、検討にスピードがかってしまいます。そこで、フレームを設定することにより想像に制約を設けることになり、リスクを取れる範囲を設定し、検討をより具体的かつ現実的にすることができます。
5.リフレーミングが容易になるから
フレームの存在を意識することによって、 現在見ているフレームが問題の解決に適切であるかどうかを疑うことができます。場合によってはフレームを変更する、あるいは複数のフレームを通して多元的に意思決定を進めるなどの判断をすることができるようになります。
老後の備えの検討に必要なフレームは?
大学受験でフレーミングを学んだ幸一君は早くも50歳という人生のターニングポイントに差し掛かっています。自分と家族のことだけではなく、年老いた両親のことも気にかかります。定年後のことも早めに考えておきたいと考えています。
大学受験の際は受験のフレームを知らずに浪人してしまい、後悔しましたが、人生の後半生において後悔はしたくないと考えています。受験勉強は早めにフレームを知った上で検討を始めることが合格に有利になるように、今よりも確実に心身が弱っていく老後のことを想定すると、できるだけ元気なうちに備えておきたいのです。
人生の後半生のライフプランを検討するのに適切なフレーミングがないかと、書籍を購読し、セミナーも受講していますが、フレームとしてピンと来るものが見つかりませんでした。
幸一君が期待する老後のリスクを予め適確に検討することができるフレームの条件は次の通りです。
条件1.経験したことがない老後のリスクを予め検討して備えておけるフレーム
条件2.老後のリスクを漏れなく提示してくれるフレーム
条件3.経験したことがない老後リスクを検討するための充分な情報
条件4.長い老後の過程で何回でも見直しをすることができる仕組み
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