ライフプランを作ったことがありますか?
作ってあるとしたら、あなたはそのライフプランを意識しながら、生活をしているでしょうか?
そのように聞くと、ほとんどの人はライフプランなど作ったこともないと言いますが、作ったにもかかわらず、忘れている人が少なくありません。なぜなのでしょうか?
そこに人生における計画(ライフプラン)の問題点がありそうです。
人生100年時代に生きる私たちに、超長期のライフプランを作る意味があるのか?という疑問にお答えします。ライフプランとリスクマネジメントの関係を頭の中で整理しておくことで、とても気が楽になるはずです。
生命保険の加入時に作ったライフプラン
かつて生命保険に加入する時に保険のセールスパーソンからライフプランニングシートと言われる書類を見せられたのを覚えていませんか?
それを作る際に、保険のセールスパーソンがにこやかな顔をしながら、いきなり、これからどのような人生を歩むつもりですか?と切り出してきたので、
あなたは、おっ!とたじろいだのではないでしょうか。
というのも、そのようなことを普段からしっかり考えて生きている人は滅多にいないからです。
生命保険に加入する際に、ライフプランを作る理由は生命保険をいくら掛けるか、保険金額を決めるためです。あなたが死んだ場合に遺された遺族に必要な資金の金額を計算していたのです。
今後の人生に想定されるライフイベントをリストアップして、それらに必要な資金の金額をそれぞれ概算で見積もります。出産、子どもの進学にともなう教育資金、住宅の購入等々のイベントとその実現時期を仮定し、年表に必要な資金の金額をインプットします。このライフプラン(人生の計画)を策定する作業がライフプランニングです。
保険のセールスパーソンは、見込客からヒアリングしたそれぞれのイベントのデータをノート型パソコンもしくはタブレットにパチパチと入力した結果を、年度単位に必要な資金を表示したキャッシュフロー表とともにライフプランニングシートとして提示してくれたはずです。
そして、そのセールスパーソンは、あなたにはこのような形の保障が必要ですねと、シートを示しながら提案したのではなかったでしょうか。
そう言えば、そうだったと思いだした人もいるでしょう。
そのようなプロセスを経て生命保険の契約は終わりますが、その後にもらったそのライフプランニングシートを見返すことがあったでしょうか?
冒頭に書いた通り、時間を掛けてライフプランを作成したにもかかわらず、ほとんどの人がそれを忘れているのはなぜなのでしょうか?
作成したライフプランへの納得感は?
せっかく作成したライフプランが活用されない原因のひとつは、生命保険のセールスパーソンがあたかも当然考えているであろうと言わんばかりに繰り出してくる質問になんとか答えたものの、多くの場合、今まで考えてもいなかったことを思いつきで言ったに過ぎなかったからです。
よく考える時間もない中で言ったことであり、自分自身でも腑に落ちていないという人が少なくないでしょう。項目によってはミエを張って事実でも本心でもないことも申告したかもしれません。それは無理もないことです。
ふたつめの原因は、今までの人生において計画が計画通りに進んだ経験がないからです。
あなたの人生はいかがでしょうか?
進学、恋人、就職、子ども、健康、収入などの現状は、かつて思い描いた通りになっているでしょうか。
人生が、常に思い描いたとおりの結果になっているという人は多くはありません。
ふたつ理由をあげましたが、どちらかというと、ふたつめの計画通りいった例しがない経験が計画(ライフプラン)への納得感が得られない最大の理由なのです。
計画通りに行かない理由
そもそも、計画・予定は狂うものです。
なぜ計画・予定が狂うかと言えば、計画時に気がつかなかった想定外が発生するからであり、その想定外は計画に組み込みようがないためです。
ルーティンのイベントにおいても想定外は発生しますが、未経験のことで、はじめて行うことは想定外だらけだといってもよいでしょう。
計画通りに結果が出た経験が少ないことから、計画を立てたものの、計画の存在自体が失念されていることもあれば、計画通りにすすめようという気持ちが薄かったり、さらに、計画を立案することさえ積極的になれないということになりがちです。
ビジネスのプランニングとしての「成果目標制度」の失敗
日本の多くの企業にも米国流の「成果目標」が導入されましたが、大半の企業で想定した効果を発揮できませんでした。むしろ、悪影響が出た企業さえあったのです。
Management by Objective、一年単位に従業員に個人別の目標を立てさせ、個人別の目標が成果を引っ張りあげるというのがこの制度の趣旨であったのですが、目標の未達が頻発してむしろ、モラルダウンにつながってしまったり、途中で目標の引き下げや変更をしなければつじつまが合わない状況が頻出したのです。
その理由は様々ですが、一年ですら計画通りにすすめることの難しさを成果目標という制度が知らしめたのです。
プライベートでもビジネスにおいても、計画を立ててもその通りに行かなかった経験が多くの人に染みついていると言えます。精緻な計画を立てれば立てるほど現実との乖離が大きくなり、計画の達成が困難となるのです。
<成功の定義>
「成功」の定義は何か?と聞かれたら何と答えますか?
かつて私は、成功の定義は目標の達成だと教えられていました。
従って、目標がなければ、成功はあり得ず、成功のためにはしっかりとした計画が必要とされたのです。
成功=幸福だとすれば、その定義が誤っていることが行動心理学、ポジティブ心理学などから明らかになっています。
意外な計画通りに行かなかった結果
しかし、ここで重要なのは、当初計画した通りに行かなかった人生が不幸かと言えば、必ずしもそうではないという点です。
計画通り行かなかったものの、それでも、現状に満足している人は少なくありません。
当初理想とした進学先、恋人、結婚相手、子ども、住宅、健康、収入でなくとも、結果オーライなのです。
この計画通りに行かないことが、即ち不満ではないという点も計画を立てることに熱意をわかせない原因となっています。
計画の達成が論理的な満足であるとすれば、計画とは異なる結果に対する満足は感情的なものであると言えるかもしれません。
ライフプランニングとリスクマネジメント
ファイナンシャルプランナー(FP)という資格をご存知でしょう。
その名の通り、お金の専門家ですが、FP資格は、元はと言えば、生命保険の営業活動のために作られたスキルであり知識でした。今でも生命保険のセールスパーソンはほとんどFPの資格を持っているはずです。
ライフプランはこのFPが作ります。
step① ライフプランニング(LP)
今後の人生にどのようなライフイベントをいつ頃行うかを考える。
step② ファイナンシャルプランニング(FP)
①のライフイベントを実行するために必要な資金を積算する。
step③ リスクマネジメント(RM)
②のファイナンシャルプランニングが病気や事故で計画通りに行かない場合への
備えを行う。
ロジックとして完成されたライフプランニングが生命保険の販売の場面でしか使われない理由は何でしょうか?
この3ステップのロジックのどこにほころびがあるかはすでにお気づきの通りです。
①のライフプランニング(計画の策定)にあるのです。
経験から、計画通りには行かないと思いつつ作られたライフプランニングに基づいたファイナンシャルプランニングとリスクマネジメントは砂上の楼閣に近いものだと言えます。
ライフプランニングは論理的なものであり、人間の本能と経験から来る感性にマッチしていないかもしれません。
後悔しない航海
人生のプランニングを航海のプランニングに置き換えて考えてみましょう。
大航海時代の帆船の針路は風まかせでした。コンパスによって、目指す目的地の方向はわかっていますが、風で動く帆船は必ずしも真っ直ぐ目的地の方向に進むことはできません。
目的地の方向から風が吹いてくれば、風に向かって上ることができない帆船は、向かってくる風の方向から左右どちらかに針路を落として左右に変針(タック)して回り道をしながら、最終的な目的地を目指します。
目的地に直進するのが理想ですが、それが困難であることを船乗りは所与の条件として操船しています。
風まかせは、出港時に長距離の航海における天候と風向きを予め予測することができないため、その時々の天候と風向に沿った針路を取ることを言ったものです。
しかし、風まかせだと言っても、間違っても暗礁や島に乗り上げて難破させて船を失ってはなりません。簡単に救助が期待できない当時において、船の喪失は即死を意味したからです。
そこで、レーダー、GPS、オートパイロットなどの機器がない大航海時代の船長は高価な海図を購入して、暗礁などを避け、失ってはならない船と乗員・乗客と積み荷を守ったのです。
このように、航海は所詮風まかせで計画通りには進まないことを経験から知っている大航海時代の船長は、海図にはこれまでの航跡を引いておくだけで、天候と風によって柔軟に針路を取りますが、難破しないために避けなければならないリスクをきちんと回避する操船に重点をおいていたのです。
ライフプランよりリスクマネジメント
大航海時代の船長と同じように、人生が計画通り直線で進むと考えている人はほぼいないでしょう。そこで、計画を立てよと言われても、気が乗らないというのが正直なところでなないでしょうか。
逆に、計画のないその日暮らしをそのまま続けることができるのであれば、むしろそれが最高です。暗礁にさえ乗り上げなければ!
従って、人生においても大切なのはライフプランを精緻に作り上げることではなく、少なくとも人生の暗礁に乗り上げたりしないように、リスクマネジメントをしっかりしておくことであると言えないでしょうか。
人生100年時代の後悔しない人生
人生100年時代と言われるような時代となり、平均余命が延びました。
しかしながら、長い長い後半生(セカンドライフ)には、若い頃には経験しなかった加齢に伴う様々なリスクが待ち構えています。
しかも、人生は一度しかないので、それまでに遭遇しなかった想定外のリスクが少なくないので、気がついたら座礁していたという人を数多く見ていると思います。
賢明な人でも想定外に備えることはできません。
予め海図とコンパスを用意して暗礁の在処を確認しておいて、そこだけを通らないように針路を調整すれば、計画がなくとも気ままな人生を送ることができます。
人生100年時代に後悔しない人生を送るために必要なのは、精緻なライフプランニングではなく、しっかりとしたリスクマネジメントです。
不安定なライフプランを作るより、リスクマネジメントをしっかりしておく方が容易で気が楽です。
後半生に待ち構えるリスク(暗礁)が記載された海図はどこにあるのか知りたくないですか?知りたい人は、Happy Ending カードをプレイしてみてください。
すでに通過した暗礁とまだ通過しておらず、これから回避しなければならない暗礁を49枚のカードゲームでプレイすることで確認することができます。
乗り上げたくない暗礁はチェックシートでログを残すことができます。
詳しくは ☞ Happy Ending カード
1.人生の幸福(成功)は目標の達成から得られるのではない。
2.風まかせであっても、ノンビリとその日暮らしができるのであれば、それが最高。
3.風まかせ派のセカンドライフに必要なのはライフプランではなく、リスクマネジメント。
4.セカンドライフの暗礁(リスク)はHappy Ending カードをプレイすればわかる。
超高齢社会に必要なリスクマネジメントをHappy Ending カードを起点にはじめてみてください。Happy Ending カードはセカンドライフにおける”もうひとつの保険”を提供します。