WHY? 何のためのHappy ending !!

臓器提供 オプトアウト方式のリスク

免許証と健康保険証の裏面に何があるか知っていますか……
その裏面に国は、あなたにとって極めて重要なことについて意思表示をするよう求めています。

極めて重要なこととは、あなたの「臓器提供に関する」あなたの意思表示です。
心臓や眼球等を提供するか否かの判断です。

Q1.そのような判断を記入するように求められていたことを知っていましたか?
Q2.知っていたとしたら、あなたは自分の臓器を提供するか否か決めて意思表示をしていますか?
Q3.していなかったとしたら、どうなるか知っていますか?

ひとつでもわからなかったら、この続きを読む価値があるかもしれません。

臓器提供の意思表示

自動車運転免許証の裏面下半分は、臓器提供の意思表示欄となっています。

これに気がついていなかったという人は少なくありません。
気がつかなければ、意思表示のしようがありませんよね……

オプトアウト方式のリスク

知らない人は驚きますが、改正臓器移植法では、本人の臓器提供に関する意思表示がない場合でも、家族の同意を条件に、脳死状態においても臓器の摘出と提供を認めています。

改正前の臓器提供法は、オプトイン方式でした。しかし、オプトインする提供希望者が少なかったため、オプトアウト方式に切り換えたのです。しかし、その改正について国民に充分な理解がなかったことは、このオプトアウト方式を知らない人が多いことでうなずけます。

(オプトアウトとオプトイン)

オプトアウト(opt-out)方式とは、参加を原則とした上で、参加したくなければ脱退の意思を表明する必要があります。

その反対がオプトイン(opt-in)方式で、参加する意思表明をしない限り、参加しないことになります。

 従って、オプトアウト方式の臓器移植法の下では、提供しない意思表示(脱退)をしなければ、提供に同意したことになるのです。

通常の多くの意思表示はオプトイン方式なので、自分で提供すると書かない限り、関係ないと思っている人が多いと思われます。

オプトアウト方式である改正臓器提供法のリスク

脳死状態に陥ったあなたがいるとします。

あなたの家族に、医療者があなたの臓器を必要としている人がいるということを話して、腎臓、心臓など臓器移植の対象となるすべての臓器の提供を求めたとします。

その時、あなたの家族はどのような気持ちがするでしょう?

心停止と脳死の違いすらよくわかりません。もちろん、あなたと相談することもできないのです。

そして、あなたがあらかじめ意思表示をしていなかった場合に……

Happy Ending への選択

脳死状態に陥っている本人が判断することはできません。事前に判断して意思表示しておけば、家族が判断する際の負担は軽くなるでしょう。

選択肢は免許証裏面を見ての通り、3つです。

1.脳死後、心停止後のいずれでも臓器を提供する。

2.心停止後に限って臓器を提供する。

3.いずれの場合も臓器を提供しない。

さらに1、2を選択した場合に提供したくない臓器を選択することができます。

あなたが臓器を摘出されたくなければ、「3 私は、臓器を提供しません。」に○を付けておく必要があります。

もちろん、臓器の移植を希望して、家族にもその旨きちんと伝えているのであれば、臓器提供カードに何も記載する必要はありません。オプトアウトしていなければ、自動的に臓器提供の意思ありとされるのですから。

臓器を提供するか否かはあくまでも個人の判断ですが、心停止の場合のみ提供したい場合、提供したくない臓器がある場合、一切提供したくない場合にはその旨意思表示しておくと家族の負担が軽くなります。

意思表示は残された家族への思いやりでもあるのです。

さらに、提供する意思表示があったとしても、家族の同意が必要です。
提供する意思がある場合には、あなたの意思を事前に家族に伝えて了承を取り付けて置く必要があります。

<Happy Ending カード NO.G-6>

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オプトアウト方式のリスク

知らないということ自体が、選択の力を奪われると言う点でリスクです。

オプトインが当たり前だと考えている人にとって、オプトアウトは落とし穴のような仕掛けです。

注文しないピザが配達されることはありませんし、婚姻届に署名押印していないのに結婚することはありません。このように、世の中の選択のほとんどがオプトイン方式であるために、オプトアウト方式はより注意する必要があります。

<臓器提供以外のオプトアウト方式の意思決定は?>

1.相続

相続財産の行方を決める遺言もそのひとつです。相続法では、遺言がない場合の相続人とその相続割合を予め決めています。法定相続人と法定相続割合です。遺言の作成は国が決めた法定相続人、法定相続割合へのオプトアウトだと言えるでしょう。

2.後見

また、本人が事故や病気、認知症などで意思能力を失って生きている場合の財産管理と法律行為は、家庭裁判所が選任する法定後見人が行うことになっています。

法定後見人は必ずしも家族とは限らず、さらに後見について報酬を支払わねばなりません。仮に、自分の子を後見人にしたければ、家庭裁判所の選ぶ法定後見人制度をオプトアウトするために、任意後見契約を締結しておく必要があります。

このように、法律で定められたオプトアウト方式の他にも実質的にオプトアウト方式になってしまうことは少なくありません。

実質的にというのは、自ら決めておかないことは、一般的なやり方に従って処理される可能性が高いということです。

老後のリスクを包括的かつ具体的に知って備えておくために

知らないリスクに備えることはできません。

臓器提供に限らず、オプトアウトであろうとオプトイン方式であろうと、知らないリスクは必ずしも少なくありません。

リスクに直面してからでは手遅れです。
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<要約すると>

・臓器提供はオプトアウト方式であるが、予め意思表示しておくことによって、判断を迫られる家族の負担を軽くすることができる。

・知らないうちに参加しているオプトアウト方式を知らないこと自体がリスクとなるので、実質的なものを含めて予め確認しておいた方が賢明である。

・Happy Ending カードをプレイすることで、老後の様々なリスクを疑似体験すれば、オプトアウトのリスクを知り、備えることができる。