死後の段取りを考えると幸せな気持ちになります!
なんて、言われても信じられないでしょう……
死後に、お棺の中にいるあなたに向かって、「さすがだね~」「ここまでスゴイね!」と言っている人がいることを、今想像してみてください。
死後のことはどうでもいいと考えている人も、これを読むと気が変わるかもしれませんよ。
なぜ、 死後の段取りを考えると、今幸せになるのか?
◇ 誰が、自分の亡骸を病院や介護施設から引き取ってくれるのだろう?
◇ 誰が、葬儀社に火葬と埋葬の手続を依頼してくれるのだろう?
◇ 誰が、病院や介護施設に対する未払いの医療費、利用料、火葬場や埋葬の費用を支払ってくれるのだろう?
生きていれば、当然自分でしたであろうことを、死んでしまえば、それができないことを誰であろうとも知っています。
そして、死は間違いなくやってきて、人生の砂時計の砂はいつ落ちなくなるかわからないこともわかっています。
そこで、それらを誰がやってくれるのか、あるいは、やってくれるのかが、気になるはずなのですが……
恥
死後の段取りについて予めしておきたい理由は、「恥」の一語に尽きます。
「見苦しい死に様」を人に見せたくない。
「人様に迷惑」を掛けたくない。
もちろん、人には家族も含まれます。
家族だから、やってくれるのは当たり前だ?……
そうでしょうか?
むしろ、家族にこそ、負担を掛けたくないですよね。
死んでも自分の尊厳を守りたい!
なのです。
残念ながら、今の日本人の多くの人がそのように考えて、自分の死後のこと(整理)を予め準備していているわけではありません。
それぞれの理由は、わかりませんが、このようなことかもしれません。
・忙しくて、段取りする時間がないと思っているのか……
・セルフネグレクト(そもそも自分に尊厳を感じていない)であるのか……
・お金がないので、市長村長(税金)に面倒をみてもらおうと考えているのか……
・すでに、認知症などで自分の死後のことを考える力を失っているのか……
だからこそ、本人が自分の始末をしっかりしようと予め備えている姿が、残された人の胸を打つのです。「見事な死だったね!」は「見事な人生だったね!」なのです。
Happy Ending です。
<ケース:見事だったね〜>
私の知人の70代の父親が、がんを発病してしまい、余命宣告を受けてしまいました。
そこで、父親は自分が社長をしている会社の創業40周年の感謝会という名目の下に、お世話になった取引先、自社の社員、家族などの関係者を招いてホテルで実質的な生前葬を行ったのです。
表向きは創業40周年でしたが、参加者の誰もが主催者の社長(父親)の余命が短いことを知っての参加でした。その場で、その父親は、取引先に長年の付き合いに感謝するとともに、後を継いだ子への支援をお願いしたのです。
死後にはできないことでした。
数ヶ月後に、亡くなって実際の葬儀となりましたが、葬儀の段取りついても事細かく喪主となる家族に指示をしていたと言います。
通夜振る舞いの料理は助六寿司ではなく、上寿司を出すこと。地元紙に訃報を何行で掲載することなど具体的であったそうです。
さらに、相続税対策を含めた遺言を遺していたので、遺族が死後の整理としてすることはほとんど無かったと聞きました。
「さすがだね〜」
「スゴイね!」
おそらく、亡くなった父親は、創業40周年の実質的な生前葬の企画をした時から、家族や取引先がどのように感じるだろうか、言われるだろうかを考えて楽しんでいたのではないでしょうか。
プレゼント
死後のこと(整理)の備えは、それを行ってくれる人に対するプレゼントでもあります。
後を濁さずに飛び立つことによって、どれだけ残された人の負荷をなくすことができるでしょう。
負荷の軽かった遺族は、より前向きに生きていけるでしょうし、父親の姿を見て、自分もそうしようと思うでしょう。
そして、そのような家は代々家風としてそれらが続いていくのです。
「あなた、ありがとう!」
「さすがお父さんだね~」
死後の家族の様子を想像することで、浮き世にいるあなたの今が幸せになりませんか。
恥を忘れる時がいづれやって来る
自分の尊厳を大切にしている人であっても、認知症などで意思能力を失ってしまうと、恥も外聞もなくなってしまいます。
認知症は、本人の一貫性は失わせ、羞恥心を奪ってしまいます。
また、そのような状態で死後の段取りをすることはできません。
従って、着手するタイミングは今以外にはないのです。
死んだ後で、自分にはできない4つのこと
長い長い人生の精算である死んだ後の整理は、多岐多様ですが、本人の視点で考えると以下の4点となります。
そして、それを誰に頼むのか、さらにその費用をどのように支払うのかが備えのポイントとなります。
1.遺体の片づけ
生身の遺体は、家財や不動産と違ってそのまま放置しておくわけにはいきません。速やかに火葬する必要があります。そして、遺骨は埋葬しなければなりません。
□ 病院、介護施設、自宅など亡くなった場所から遺体を引き取り、葬儀場、火葬場等への搬送。
□ 葬儀の施行
□ 火葬
□ 埋葬
2.債務の整理
死んだからといって、受けたサービスの対価の支払いが免除されるわけではありません。
□ 病院の治療費、介護施設の利用料
□ 公共料金、電話、その他サービスの未払い代金の精算
□ 年金の支給停止等、官庁への届け出等
3.資産の整理
相続がされずに放置されている空き家がその地域の負荷になっています。「負」動産というような物件も少なくありません。
資産の整理は、死後に整理してもらうというより、生前に自分で片づけておくべきものです。片づけきれなかったものを託すと考えておきましょう。
□ 家財の片づけ
□ 不動産の処分
□ デジタル遺品の整理
□ 遺産の処分(相続手続)
4.告別(お別れの挨拶)
様々なイベントにおいて、主催者、主役が来場者に挨拶をするのは当然のこととされています。
結婚披露宴であれば、新郎新婦と両家の代表、会社主宰のイベントであれば、社長など会社の代表者ですが、様々なイベントの中で、唯一主役の挨拶がないのが葬儀です。
しかし、それでよいのでしょうか。
生の声は無理だとしても、手紙を書いておくことはできるでしょう。さらに今では、スマホを使えば簡単に音声の録音、ビデオ映像で挨拶を用意することが可能となっています。
□ 生前の感謝の気持ちを伝える
□ 形見分けをする
死後のこと(整理)をどのようにして欲しいのか
死んだ後に指示することはできませんし、やってくれる人が本人に確認することもできませんから、あらかじめ依頼内容を具体的に文書で書き記しておく必要があります。
末尾にダウンロード可能なチェックリストを案内していますので、登録してご利用ください。
死後の整理 受託のマトリクス:死後のこと(整理)は誰がやってくれて、その費用と報酬はどうするのか?
自分の死後のこと(整理)をやって欲しい人がいたとします。
お願いするだけで、やってくれる人は珍しいでしょう。
はたして、自分の死後の整理を受けてくれるか、
自分の思い通りに実行してくれるのかは、相手の本人に対する義理と費用の負担と報酬の有無によって決まります。
誰に頼むのか?
戦前の大家族制の下では、死後のことは、残された家族が代々するものとされていました。本人が段取りすべきものではなく、むしろ長男に任せるべき家の行事だったのです。
しかし、戦後、核家族化が進み、親子三代が同居するようなことは少なくなりました。また、生涯未婚率が高まり、離婚も増え、結婚しても子どもをつくらない夫婦も少なくありません。
また、結婚していたとしても最後にどちらかは、おひとりさまになってしまいます。
これらの家族形態が変容した結果、自分の死後のこと(整理)をしてくれる適切な家族がいない人が少なくありません。子どもがいたとしても実施的に縁が切れている場合もそれに含まれます。
放っておいても、やってくれる人は出て来ないので、自ら捜さなければなりません。
費用と報酬はどうするのか?
死後のこと(整理)には相当な費用と手間がかかります。実の子であったとしても、費用まで負担することによい気持ちはしないでしょう。
死後のことを託したい相手がみつかった場合に、相手が受託するか否かは3つの要素で判断されます。
①義理の有無
実の子であれば、産み育ててくれた親に義理を感じて死後のことを行う可能性が高いでしょうが、甥・姪となると、よほど小さい頃からかわいがっていたとか、付き合いが深くなければ、進んで受託しようとは言わないでしょう。
②費用負担
子が、親の死後の整理の費用を負担できるとは限りません。
また、甥・姪であれば、自分で費用負担をしてまで受託するとすれば相当な義理を感じている場合に限られるでしょう。
費用は、予め生活資金とは別枠に確保しておくのが原則です。
③報酬
義理があり、受託者に費用負担を強いなければ、受託してくれる可能性は高まるでしょう。しかし、さらに報酬があれば動機は高まるでしょう。地獄の沙汰も金次第です。
全く義理のなかったプロは報酬の支払いによって受託者となります。
マトリクスからわかること
死後の整理を実行する能力があって、義理が少なくとも、費用負担をさせずに、報酬を支払うことによって、受託してもらうのがベストです。
死後のことだけではなく、老人ホームに入居する際の保証人のなり手なども合わせて考えるとこの選択はますます重要です。
甥・姪がいるけれども、適切な相手ではないと判断した場合に、初めてプロに報酬を支払って依頼することを検討します。
死後の整理に必要な費用をどう託すのか
生前はサービスの提供を受けた後に代金を支払うものですが、死後では自ら支払うことはできません。そこで、決して小額とは言えない金額の費用と報酬をどのように支払うかが、受託者との間の大きな問題となります。
方法としては①現金の預託(信託)を含む、②遺産から支払う、③生命保険金を充てるの3つが考えられます。
1.現金の預託(含む信託活用)
あらかじめ必要な金額を先渡ししておく方法です。
受託者側からすれば、間違いのない方法ですが、委託者側はその預託金が履行されるまできちんと保全されるか否かが心配なところです。
信託銀行、信託会社などの商事信託を使う方法が安全だと言えますが、コストと手間との見合いの判断となります。
民事信託は契約書の作成と銀行口座の設定にコストがかかるため、コストと手間の見合いになりますが、監督チェック機能がないので、リスクは現金の預託とさして変わりません。
2.遺産から
遺言によって、遺産から費用と報酬を支払います。
遺言による場合の留意点は、まず、必要な金額の遺産が残っていることであり、第二に、遺言の執行までに時間を要するため、一時立て替えなどの必要が生じる可能性があることです。
・相続人が遺言により葬儀、埋葬など死後の整理について負担付き遺贈を受ける方法
・受託者が、遺言により費用と報酬を受ける方法
※子らが、一時立て替えた費用を、受け取った遺産で補う場合が多いと思いますが、それは当初から本人が別枠で確保した費用ではないので、ここでは考慮からはずします。
3.生命保険金
かつては、個人が生命保険に加入する場合に、死後の整理資金として、保険期間が終身(すなわち必ず支払われる)終身保険を2〜5百万円程度契約するのが一般的でした。上乗せしていた定期保険特約等は60〜65歳までで満了しているので、終身保険部分だけが残っている契約者が多いと思います。
その保険金の受取人を死後の整理の受託者に変更することで、手持ちの資金を事前に預託することなく、費用の支払いをすることができます。
生命保険金を使う場合のリスクは、生命保険契約が解約、失効してしまうことです。従って、生命保険金を使う場合には、別途死後事務委任契約を公正証書で契約をしておき、死後事務の履行を生命保険金の受取を停止条件としておく必要があります。
さらに注意事項がありますので、こちらは別途ご案内します。
死後事務委任契約
子以外に死後のこと(整理)を託す場合には、死後事務委任契約を公正証書で作成しておくことをオススメします。
委託内容を契約書で明確にして、費用、報酬なども記載し、公正証書とすることで、受託者の責任感も醸成できます。
死後事務委任契約についてはオンデマンドウェビナーがありますので、ご覧ください。
事故事務委任契約のひな形もダウンロードすることができます。
☞ 「死後事務委任」頼れる家族がいないリスクに備える
公正証書5点セット
ピンピンコロリで亡くなる場合は別として、自分自身で判断ができなくなるのは死後だけではありません。
生前にも病院や介護施設にいる間に、判断する能力を失っている場合があります。その際の身上監護と財産管理や、死後の財産の配分を予め決めておきたい場合は、公正証書5点セットが必要となります。
こちらもオンデマンドウェビナーを用意していますので、ご覧ください。
☞ 「リスクポリシーとしての 5gear 公正証書5点セット」
リスク
何ごとにもパーフェクトはありません。
予め死後のこと(整理)を考えて託していたとしても、その想いが実現しないリスクがありえることを認識しておきましょう。想いが実現する可能性を少しでも高めるように受託者と信頼関係を築くことがポイントとなります。
死後のこと(整理)が実現しないリスク
・死後のこと(整理)を受託した人が先に死亡する、あるいは病気などで履行が困難な状態になってしまう場合。
・委託した内容をその通り誠実に実行しない場合。
死後の段取りを考えると幸せな気持ちになります!
死に様からその人の人生のイメージが最終的に決まるのは恐ろしいことであり、チャンスでもあります。
今からその準備をして楽しんではいかがでしょうか。
しかし、それは本人が意思能力をキープしている間のチャンスです。
素晴らしいエンディングを演出してください。
Be Happy Ending !!
【無料】チェックシートのダウンロード
氏名と、パスワードを登録してダウンロードしてください。
・死後の段取りを考えるのは、生前の一貫性を失わず、恥をかかないため
・死後の段取りはやろうと思えば生前に備えることができる
・認知症などで恥を忘れる時がやってくる。備えはその前に
・死後のことで整理してもらいたいのは大きくわけると4つ
・費用と報酬の支払い方は、①預託金、②遺産から、③生命保険金からの3つから選択
・相手が受託するか否かは、受託マトリクスの①義理、②費用の負担、③報酬の3要素で来まる
・内容と報酬について、死後事務委任契約を契約しておく
・死後のことだけでなく、生前のことも含めて公正証書5点セットが必要
・備えにパーフェクトはないので、受託者との信頼関係を深める努力をする
・死後の段取りを考えると、今幸せになる