「君は怖いから外へ出ていけない…」クリストフ
あなたは、どこまで自分の人生を自分でコントロールしているでしょうか?
映画『トゥルーマン・ショー』の主人公は、生命保険の営業マン。
毎日同じような日々を送っていましたが、ふとした出来事から自分が自分の人生をコントロールして生きていないことに気づきます。
保険募集人トゥルーマンの人生 映画『トゥルーマン・ショー』

ジム・キャリー演じる主人公トゥルーマンは、シーヘブン島に住む保険募集人です。
彼は生まれた時からこの島で暮らしてきました。
穏やかな日常、優しそうな妻、ご近所との挨拶……
成績を上げなくてもクビにならない保険代理店?
彼自身、何不自由のない生活を送っているように思っていました。
しかし、彼の何不自由のない人生は、生まれた瞬間から全世界に配信されるテレビ番組として製作されたものであり、彼の人生すべてが番組としてロデューサーであるクリフトフたちにコントロールされていたのです。シーヘブン島でそのことを知らなかったのは彼ひとりだけでした……
その事実に彼が気づくきっかけが起こります。
トゥルーマンが出勤しようと自宅の外に出ると、突然撮影のための大きな照明機材が空から落ちてきたのです。空から大きな撮影機材が落ちてくるなどあり得ないことです。
ラジオからは、それをごまかすために即座にその照明機材は飛行機から落下したものであり、事故であるとのニュースが流れましたが、その非日常性からくる違和感。そこから彼は自分を取り巻く出来すぎた環境を疑い始めます。
・毎朝同じ挨拶をする隣人
・同じ時間に通り過ぎる自転車とクルマ
・毎朝出勤途上で壁の広告に体を押しつける双子
・芝刈り機、マカロニ、ココアなどその場に関係のないことを話つづける妻
・成績を上げなくてもクビにならない保険代理店
自分の人生に誰かが介入していることに気づいたのです。
あなたの人生は誰かにコントロールされている怖れはありませんか?
生命保険とライフプラン二ング
生命保険の募集人だったトゥルーマン
興味深いのは、そんなトゥルーマンの職業が生命保険の募集人だという点です。
彼は日々、お客様の将来のライフプランづくりを手伝いながら将来のリスクに備える生命保険を売っていました。生命保険を設計する際には必要な保障額を計算するために、お客様と一緒に将来の人生を設計して見せる必要があります。これを業界ではライフプランニングといいます。
生命保険の募集は次のようなプロセスで進みます。
ライフプランニング ☞ ファイナンシャルプランニング ☞ リスクマネジメント
という流れです。
3番目のリスクマネジメントだけにしたいところですが、見込客に生命保険の必要性を理解してもらうためにはこの3つのステップを踏む必要があるのです。
1️⃣ ライフプラン二ングは人生においてやりたいことをお客様にリストアップしてもらいライフイベント表にまとめます。このライフイベントが肝心です。
2️⃣ ファイナンシャルプランニングはライフプランニングでリストアップした今後の人生でやりたいことに必要なお金を計算します。
3️⃣ リスクマネジメントはファイナンシャルプランニングで計算した収入や支出が計画通りにならない場合への備えです。大黒柱の死亡によって収入が減少してしまうとか、地震によって、がんになった場合に治療費が必要となり、支出が増加する場合とかです。ここで生命保険の提案となります。
ライフプランとは生き甲斐
ライフプランは生き甲斐を記したものです。
人間は馬や犬と違って、将来のことを考える意識を持っています。
将来のことを考える能力を持った人間は、動物が外から来る現在の刺激に反応しているだけなのに対して、外から現在受ける刺激のことだけでなく、将来のために自ら、今何をしようかと考えてしまいます。
これは意識を持った人間の性だと言えるでしょう。
将来のあるべき姿を考えた上でそれに向って行くのが生き甲斐、すなわち生きる目的となります。
将来を前向きに考えると生き甲斐、後ろ向きに考えると不安になります。
馬や犬は人間の指示通りに生きています。人間の指示に従うことで生かされていることに何ら疑問を持ちません。生き甲斐を考える必要も能力もありません。人生に対して「馬生」「犬生」という言葉もありません。
むしろ、馬や犬の方が気楽でよいかもしれませんね。
将来のことを考える意識を持つ人間に生き甲斐がないとどうなるでしょう?
それは、監獄にいる囚人です。
囚人は自分のしたいことをさせない、生き甲斐を持たせない刑罰を監獄で受けているのです。監獄は囚人から自由を奪い、囚人の人生を自分でコントロールさせないように作られた施設です。監獄に入れられることが最も重い刑罰なのです。
トゥルーマンは生命保険の募集人として、お客様にはライフプラン(生き甲斐)を提案していたはずですが、肝心の自分自身の人生に対してはライフプラン(生き甲斐)を持たずに、生きてきたのです。この映画においてトゥルーマンの仕事を生命保険の募集人に設定してあるのは制作者の皮肉です。
トゥルーマンはシーヘブン島という監獄に収容された囚人だったのです。
あなたは、生き甲斐を創る作業としてライフプランニングは必要だと思いますか?
(Happy Ending カードNo.A-4)
トゥルーマンの共演者
トゥルーマン以外のシーヘブン島の住民は皆番組の共演者であり、トゥルーマンの生活が虚構であることを知っていました。ビジネスとしてトゥルーマンと付き合っていたのです。
妻のメリルも親友のマーロンも、ご近所さんも、会社の同僚も…
妻のメリル
妻メリルは広告を読み上げる共演者。形だけの夫婦関係で、それ以上のことはありませんでした。画面上ではトゥルーマンをベッドに誘いますが、TVに映らない世界ではどのようにしていたのはわかりません。いずれにしても、トゥルーマンショウの視聴率を上げることが目的でビジネスとしてトゥルーマンと付き合っていました。
親友マーロン
マーロンは親友を装いながら、シーヘブン島を出て海外旅行に行きたがるトゥルーマンに「この街を疑うな」「ここが一番安全だ」と語りかけます。今のままで十分だと思い込ませ、トゥルーマンに現状維持をすすめます。
保険代理店の同僚
海を恐れるトゥルーマンにリストラをちらつかせて新規契約の獲得のために他の島への営業に行くことをすすめます。また、トゥルーマンとメリルの関係が破綻した後に新たな女性をトゥルーマンに紹介するのです。すべて番組の視聴率を上げるためです。
ローレン
学生時代に出会った女性ローレンと図書館で再会します。
メリルに飽き足らないはローレンをデートに誘ったところ、彼女は、出演者のひとりでしたが、撮影の現場を見て、トゥルーマンが監獄に閉じ込められていると感じたのです。いくらビジネスであるとしても、ひどすぎる…
そこで、ローレンはシーヘブン島において起きていることはすべて嘘であることをトゥルーマンに伝えます。番組を壊そうとすると見られたローレンはその場で番組の関係者から連れ去られてしまい、直ちに番組から外されてしまいます。
一瞬の出会いでしかなかったものの、ローレンの言葉とまなざしは、トゥルーマンの心に深く刻まれ、その後ローレンを思い続けていきます。ローレンへの思いは、女性としてのローレンというだけではなく、むしろ自分がコントロールする自身の人生とローレンを重ね合わせて考えていたように見えます。
トゥルーマンが恐れていた「海」と「水」は何を意味するのか?
トゥルーマンは海を渡ることができません。島の外に出る橋の前で、彼はいつも立ちすくみます。その理由は、彼は子どもの頃父親とヨットに乗っている時に嵐となり父親を失うトラウマを受けていたからです。(もちろんこれは、番組制作者がシーヘブン島から出ていかないようにするための仕組まれたシナリオでした)
しかし、問題は海と水だけではなく、その先にある将来です。見たくない、知りたくない現実が待っているかもしれません。それに対してシーヘブン島はよく知っているし、住み心地は悪くはないのです。
シーヘブン島は現状、海と水の先は未知の将来という構図です。
現状に大きな不満がないのであれば、あえてシーヘブン島がから出て行く必要はないのです。海を越えて島から出て行くには強力な動機が必要となります。トゥルーマンが恐れていた「海」と「水」は自分でコントロールする将来を考えさせないブラインドだったのです。
シーヘブン島に子どもがいない理由
トゥルーマンとメリルは「夫婦」という設定で暮らしていながら、子どもがいません。 また、シーヘブン島全体を見回しても、ほとんど子どもが登場しないことに気づきます。
出演者のメリルがビジネスとは言え、トゥルーマンの子どもを産むまでの出演契約をしているとは思えませんよね。
いない子どももメタファーです。
子どもは出演者としてコントロールしにくい存在です。
子どもの誕生は計画できない将来ですから、予め番組制作側がコントロールすることができない変数となります。
番組制作者は本人の意向に関係なく完全にコントロールされた世界を創ろうと思っているので、トゥルーマンとメリルの間に自分たちがコントロールすることができない子どもを誕生させる訳にはいかないのです。
命の誕生→計画できない未来→コントロール不能な変数を排除するためにあえて子どもを登場させないのです。
本来子どもは「未来」、「命の連続性」、「予測できない希望や困難」のメタファーです。 しかし、トゥルーマンの世界にはそれらは認められないのです。
トゥルーマンはなぜ命を懸けてまでシーヘブン島から脱出したのか?
ローレンに会いたかったからだけでしょうか?
トゥルーマンにとってシーヘブン島はとても平和で過ごしやすい世界だったのですが、他人が自分の人生のシナリオを創り、それを押しつけられ、四六時中管理・監視されていることがわかると、今まで疑問を持たなかった日常の世界が一転して監獄に変わったのです。
他人からコントロールされている囚人のような人生を生きることに絶えられない。
「自分の人生を生きる」=「自分で自分の人生をコントロールする」ためでした。
無実の囚人が脱獄をする感覚なのかもしれません。
そこで、ヨット サンタ・マリア号に乗り、命の危険を冒して海の向こう側の未知で、本物の世界へと踏み出したのです。
彼はその後、どのような人生を歩んだのでしょうか?
想像してみるのは楽しいと思いませんか?
<IF THEN 予期的後悔>
もし、トゥルーマンがメリルやマーロンの説得に応じて監獄であったシーヘブン島に住み続けたらどうなっていたでしょうか?
その先のシナリオを考えてみてください。
あなたの場合は?
あなたのビークル
あなたがトゥルーマンだとします。
🔹 あなたのクリフトフは誰ですか?
🔹 あなたにとってのシーヘブン島は何ですか?
🔹 あなたにとっての海と水は何ですか?
🔹 あなたにとってのメリル、マーロン、会社の同僚は誰ですか?
🔹 あなたにとっての証明の落下は何ですか?
🔹 あなたにとってのローレンは誰ですか?
<登場するメタファー>
vehicle | メタファー |
トゥルーマン | 自分の人生をコントロールせずに生きることに気づいた人 |
クリストフ | 人生の支配者 |
シーヘブン島 | 現状:慣れて安全な世界 |
照明の落下 | 気づきと変化の入口 |
海・水 | 変化への恐れ |
メリル(妻) | 人生の支配者の手先 |
マーロン(親友) | 人生の支配者の手先 |
保険代理店の同僚 | 人生の支配者の手先 |
ローレン | 導き手 |
子ども | 将来 |
あなたのシーヘブン島 Sea Heaven ☞ See Heaven
あなたは今いるあなたのシーヘブン島から出る必要があると思いますか?それとも出る必要はありませんか?それを判断する際に次の2つの問いに答える必要があるでしょう。
1️⃣ 自分で考えてやりたいこと(生き甲斐)があるか?
2️⃣ 自分の人生を自分でコントロールしたいか?
シーヘブン島からの脱出

いかがでしたでしょうか?
社会で他の人と一緒に暮らしている以上、自分で自分の人生をコントロールすると言ってもお互いの意向がぶつかりながら生きているので、100%とは難しいでしょう。
・両親との関係
・配偶者との関係
・子どもとの関係
・仕事の関係
・地域との関係
・知人との関係etc.
あなたはどの程度自分の人生を自分でコントロールしていますか?
あなたはどの程度トゥルーマン的ですか?
それがわからない場合にはHappy Ending カードでチェックすることができます。
また、自分が多少でもトゥルーマン的だと思われた場合、
ローレン(導き手)と照明の落下(きっかけ)が必要だと思われたら、ローレン役はHappy Ending プランナーが、証明の落下はHappy Ending カードがお役に立ちます。