セカンドライフをプランニングする「人生ナビ」を提供します。
映画「ビッグ・フィッシュ」を例にとってその内容をご説明しましょう。
人生ナビは
1️⃣ 自分史年表
2️⃣ ネットワーク関係図
3️⃣ 人生の満足度テスト
4️⃣ これからの自分史(ライフプラン)
の4つから構成されるライフプランニングツールです。
最後にそのツールをPDFで提供しますので、お楽しみに!
映画「ビッグ・フィッシュ」
映画「ビッグ・フィッシュ」はファンタジーのような話なのに、妙にリアルで、懐かしく、親子がHappy Ending となる物語です。

映画『ビッグ・フィッシュ』あらすじ(ネタバレを含みます)
エドワード・ブルームは、生涯を通して誰もが信じがたい“おとぎ話のような人生”を語り続けてきた男。
彼の話には、巨人や魔女、夜には狼男となるサーカスの団長や夢のような町が登場します。
だが、子どもの頃からそんな話を聞かされつづけてきた息子ウィルは、それらの話を信じていませんでした。その結果、父のことを“本当には知らない”と感じ、距離を置いてきました。
しかしエドワードの死が近づく中、ウィルは父の“物語”の真実を探ろうとします。
父の語りが単なる誇張や作り話ではなく、生き方そのものであり、伝えるべき「人生の意味」だったと気づいたとき──
ウィルは初めて父の人生を受け入れ、自分自身が語り手として歩き出すのです。
そして、いつの間にかウィルは自分の息子に対してもエドワードと同じような物語を語るようになるのです。
観終わったあとにふと自分の人生を振り返りたくなり、自身の今後の人生をちゃんと考えようと思わせる映画です。
この映画を「人生ナビ」のケースとして取り上げます。
人はつながりの中で自己を定義する
なぜ、ウィルは疎遠であったエドワードの過去について、ホラ話ではない本当のことを知りたくなったのでしょうか?
人はひとりでは生きることができません。
社会的な動物である人間が孤立して生きて行くことはできません。
そのように言われているのは、現時点における横のネットワークについてですが、縦のネットワーク、すなわち先祖、子孫との縦の関係性にも大きな影響を受けていることに注意が必要です。それはしかも、生死を問わずなのです。
・親に守られている幼児の安心感
・子どもの成長を喜ぶ親
・年老いた親を心配する子
・毎日仏壇に手を合わせる家族、墓参りをする子孫
これらを見るとき、人間の安定性、安定感は横の関係性だけからもたらされるのではなく、縦の関係性も重要であること明らかです。
親と子はDNAを受け継いでいるというだけでなく、気持ちとしてもお互いが自分の人生の一部だからです。ウィルがエドワードの人生を再定義したくなったのは、父エドワードの人生は子であるウィルの人生の一部であることに気づいたためです。
しかし、お互い元気である時にその点に気づくのは難しいかもしれません。ウィルは父の余命を知ったとき、父エドワードが彼の人生の一部であったことに気づいたのでした。
その瞬間から、ウィルの「人生ナビ」が動き始めます。
この人生ナビはどちらかのではなく、父エドワードと息子ウィル、そして母サンドラの人生ナビでした。
ウィルが創り始めた「人生ナビ」
1️⃣ 自分史年表
ウィルは父エドワードから聞いたホラ話を整理してみました。
自分史と聞くと、本のように文章で長く詳しく書いたものをイメージするかもしれませんが、この自分史年表は人生の重要なエピソードをおおまかな時代別に整理した簡単な表です。
人生における重要なエピソードを発生時期/エピソード/内容/意味合い の順で整理します。
時期 | エピソード | 内容 | 現実とのギャップ (ファンタジー要素) |
少年時代 | 魔女の目 | 魔女の義眼をのぞいて自分の死の瞬間を見る | 死の運命を知っているから何も怖くないと信じる |
幼少期~青年期 | 巨人・カールとの出会い | 村人に畏れられていた巨人と親友になる | 常人の2倍の大きさ、旅に同行させる |
青年期 | 幻の町スペクターに迷い込む | 完全に整った理想郷。裸足の住人、時間が止まっている | 現実には存在しない桃源郷のような町 |
青年期 | サーカスで働く | 妻となるサンドラと出会う。 サンドラの情報を得るため、3年間無報酬でサーカスに勤務 | サーカス団長は夜は狼男になる |
青年期 | 花畑でプロポーズ | サンドラに一面の水仙の花畑で求婚 | ・花で埋め尽くすロマンチック演出は非現実的なスケール ・空にハートマークを描く |
青年期~結婚後 | 双子の芸人を中国から連れて帰る | ベトナム戦争中に中国で出会った双子と旅を共にする | 双子が1つの身体に頭が2つという設定 |
結婚後 | ウィルの出産 | 出張していたエドワードはウィルの出産に立ち会うことができなかった | ウィルはサンドラのお腹から病院の廊下にロケットのように飛び出して生まれた |
社会人~中年期 | ウォール街での投資成功 | 銀行強盗を助けたノザーがウォール街で成功し、多額の謝礼を受け取り夢であった白い家を購入する | 銀行強盗などコメディ的に強調された成功談 |
成熟期 | スペクター再訪・復興 | 落ちぶれたスペクターの町を買い取り、再建する | 幻想の町を救う英雄として描かれる |
終末期 | 自分の死の語り | 川で魚になるように死ぬ(ウィルが語る) | 実際は病死だが、物語では水に還る幻想で締めくくられる |
この自分史年表には、父エドワードだけではなく、妻サンドラと子ウィルの人生の重要なエピソードが含まれていることがわかります。
2️⃣ ネットワーク関係図
重要なエピソードにはそのエピソードに関連した人物がいます。そのエピソードに登場する人物をリストアップします。
🔹 そのエピソードに登場した人物は誰か?
🔹 そのエピソードにその人物が果たした役割は何か?
🔹 その人物は自分の人生にどのような影響を与えたか?
🔹 もし、その人物が介在していなかったらそのエピソードはどのようになっていたか?
登場人物 | 関係性・役割 | 人生ナビとの関連 | 出会わなかったら… |
魔女 | 少年時代に出会い「死の瞬間」を見せる | ④将来のライフプラン(死を恐れず生きる) | 臆病で挑戦しない人生を歩んでいたかもしれない |
カール(巨人) | 森で出会った異形の存在、共に旅に出る | ②ネットワーク図(異質との共存) | 社会とつながるきっかけを失っていた |
エイモス(団長) | サーカス団長、妻との出会いをつなぐ中間支援者 | ①人生の転機 × ②仲介者 | 恋も人生の選択も諦めていた可能性 |
サンドラ | 妻、人生の中核となる存在 | ③満足度の核 × ④未来の土台 | 寂しい人生、語るべき物語が生まれなかった |
ジェニファー | もうひとつの人生の可能性/影の選択 | ①語られなかった章/③未完の感情の整理 | 感情の整理ができず、過去にとらわれ続けていた |
ジョゼフィーン | ホラ話を面白く受け取り、記録する | ②家族ネットワーク × ④語りの受け継ぎ | ウィルがエドワードを理解しようとしなかったかもしれない |
ウィル(息子) | 語りを疑う存在→継承する者へ | ②家族ネットワーク × ④語りの受け継ぎ | 物語が断絶し、人生が語られないまま終わっていた |
IF THEN を考えてみると、物語としての面白さは高まります。
4️⃣ これからの自分史(ライフプラン)
エドワードの臨終のベッドの横に座るウィルはエドワードからこれからの物語はどうなると聞かれてしまいます。
そこで、突然ウィルは閃いたように、エドワードのこれからの物語(ライフプラン)を語りはじめます。
<ウィルが紡ぎ出したエドワードのこれからの物語>
1.父エドワードは引き留める病院の関係者を振り切ってクルマ椅子で臨終の際にある病院を抜け出し、ウィルと一緒に車で走り去る
2.カーチェイスをしているように街を走る。渋滞の中で巨人のカールが邪魔するクルマを道路の脇に片づけてくれる。私たちは街を抜け、森を抜け、池のほとりへとたどり着く
3.池のそばでは、これまでの父エドワードのホラ話に登場した人物たちが勢揃いしている
4.妻のサンドラは池の中で待っていて最後のキスをする
5.エドワードはウィルに抱えられ、池に入り、大きな魚(ビッグ・フィッシュ)となって泳ぎ去る

ウィルの物語が終わるとエドワードはビッグ・フィッシュとして息を引き取るのです。
過去を知らなければ物語を続けることはできません。
ウィルが父エドワードの臨終の場でその物語を続けることができたのは、エドワードの重要な人生のエピソードとそのネットワークに関連する人物を知っていたからです。
脈絡もなく突然始まる物語はありません。
自分史は縦横の他者とのつながりを確認する場であると言えます。
映画ビッグ・フィッシュにおけるこれからの自分史はエドワードからウィルに引き継がれていくのです。
「ビッグ・フィッシュ」とは?
映画の中で、ビッグ・フィッシュ(大きな魚)は何度も象徴的に登場します。
映画内の台詞:
「ビッグ・フィッシュは泳ぎ続けなきゃいけないんだ。止まったら死んでしまう。」
ここから導かれるのは、
泳ぐのは私たちの「人生」そのもの
🔹生きるとは、“意味”や“物語”を紡ぎ続けること
🔹そして、それが終わらない限り、人生も終わらない
ビッグ・フィッシュとは、誰もが誰かに伝えたい「物語」なのです。
そして、それはDNAのように次の世代へと流れていく。
ウィルが気づいたのは、父の物語は自分の物語の一部であり、それを受け取らなければ、自分の物語も、子どもに語るべき物語もまた、失われてしまうということでした。
ビッグ・フィッシュとは、「事実ではなく、意味の泳ぎ手」である。
それはDNAのように、形あるものとして受け継がれ、
同時に物語のように、かたちを変えながら他者の中に泳ぎ続けます。
映画『ビッグ・フィッシュ』の最後で、息子ウィルは、父の物語を自分の言葉で語り続けます。
それは事実ではなくても、真実が込められた物語でした。
誰かに伝えることで、ようやく意味を持つ物語。
それを語り始めることが、人生ナビの第一歩です。
あなたの「人生ナビ」を描いてみませんか?
映画「ビッグ・フィッシュ」は、自分史の映画であるとも言えますが、それは偉人伝や履歴書ではなく、ライフプランの起点となる自分史なのです。
そこで、4つのステップからなる“人生ナビ”をご用意しました。
🔸 Step1:自分史年表をつくる
サーカスで出会った、あの人のように──
あなたにとっての「人生の出会い」や「ターニングポイント」を書き出します。
上記の『ビッグ・フィッシュ』の主要エピソード年表を参考にしてください。
細かい年月などにこだわる必要はありません。人生において重要なエピソードをリストアップします。
このような年表形式で自分の人生を見直すことで、「出来事」と「意味」のつながりが明確になります。
🔸 Step2:ネットワーク図を描く
自分史年表をヒントに、あなたの人生の「登場人物マップ」を描いてみてください。
巨人、魔女、団長、サンドラ……。
あなたの人生に登場した「支え」「衝撃」「導き」は誰だったかを整理します。
🔸 Step3 人生の満足度テスト
これは映画には登場しませんが、Step1とStep2をやって見た上で、ご自身の現時点における人生の満足度を判定します。
35点満点ですが、おそらく満点にはならないと思いますが、満点ではないとしたら、満点にするために何がたりないのかを考えてみてください。
🔸 Step4:これからのライフプラン(自分史)
Step1から3までの情報を元に、残された人生のライフプランを考えてください。
まずは、あと何年健康で生きることができるかを想定してください。時間の欠乏を意識すると、優先順位(着手の順番)の重要性が際立ちます。
今後のライフプランに漏れがあるかもしれないと思ったら、Happy Ending カードでチェックしてみてください。
こちらのリンク先から人生ナビのStep1~4を行うためのワークノート「ライフプランの起点としての自分史」をダウンロードすることができます。
このPDFでは、上記の4ステップをじっくり書き込める構成になっていますので、お試し下さい。