映画を観ようと映画館に行ったら、主人公がハッピーエンドになる😊印のついた5つの映画と、バッドエンドになる😫印のついた5つの映画が上映されていました。
あなたは主人公がハッピーエンドになる映画とバッドエンドになる映画のどちらを観ますか?
聞くまでもありませんね。
バッドエンドの映画を観ようとする奇特な観客は少ないため、映画のシナリオはすべてと言ってよいくらいハッピーエンドです。
ただ、はじめからおしまいまでハッピーな物語はおもしろくもなんともありませんから、途中で大きな試練が主人公を襲い、観客をハラハラ、ドキドキさせた上でそれを克服した後にハッピーエンドとなる主人公に共感させるシナリオが定番です。
物語の展開はワンパターンと言えるほどそれが当たり前なので違和感を感じさせないのですが、なぜ、映画の主人公は皆ハッピーエンドになるのか、不思議に思ったことはありませんか?
逆にバッドエンド、ビターエンドとなる主人公を見せられたら観客はどうなるでしょう。
主人公を大きな試練が襲い、それを乗り越えることができずに主人公が不幸になるシナリオです。
それって、自分みたいだということでその気持ちは良くわかると共感するでしょうか……
何のために多くの人が入場料を払って映画館に足を運ぶのか?
日本では、1億5千5百万人が平均1,424円の入場料を支払って映画館で映画を見ています(2023年)。映画ファンからは以下のようなコメントがアンケートで寄せられています。以下の感想を見てみると、映画を娯楽として見ているだけではなく、現実とは違う人生を体験することが目的のひとつであるようです。
【映画好きな方に聞く、映画がもたらしてくれること 】
・現実では味わえない様々な感情と、時には現実が今で良かったと思う感謝。ワクワクに充実感。友人、家族との大事なひとときをもたらしてくれます。(40代女性)
・上映中の2時間、自分が他の人生を生きることが出来る。夢の世界を生きることが出来る元気の素。違う世界を覗くことによって、新しい世界が拓ける楽しみ。
年齢に関係なく色々な人生を生き、男にも女にも、若くも老齢にも、お金持ちにも貧乏にもなれる。誰よりも優しく勇敢で、誰よりも悪で卑怯で残酷にもなれる、どんな自分にもなれる。
こんなにスリリングでワクワクする世界を味わえるのは、エンタメならではだと思います。(50代女性)
・約2時間の上映時間で、他人の人生を疑似体験することができたり、今まで知らなかったことを学ばせてくれたり、人間性を豊かにするための勉強の場です。人との会話のキッカケになったり、ドキドキや興奮を与えてくれたり、日常生活に刺激を与えてくれる存在です。(40代男性)
・友人と映画の話をしていると、お互い自然と笑顔になって、あっという間に時間が過ぎます。今まで知らなかった世界観やセリフや考え方など、大人になった今でも成長する機会を与えてくれます。(20代男性)
映画の主人公が例外なくハッピーエンドになる理由
大きな試練を乗り越えてハッピーエンドになる映画の主人公の姿を観て感動し、その人生を疑似体験するのは娯楽としてはよいとしても、それ以外の効用があるでしょうか?
観客は、映画を観て主人公の架空の人生を疑似体験したことだけで治まらずに、映画の登場人物のようになりたい、自分もハッピーエンドになりたいと思わないのでしょうか?
考えてみると、自分も自分の人生の物語の主人公です。
観客は家族と仕事の仲間、友人たち……
入場料はもらっていませんが、観客は意図せずにあなたの人生の物語を観ているのです。
映画の登場人物は例外なくハッピーエンドになるのに対して、現実の世界に生きている主人公がハッピーエンドになるとは限らない理由は何でしょうか?
映画の主人公は、はじめからハッピーエンドになるべく生まれてきたからです。
脚本家が予めハッピーエンドとなるシナリオを用意しており、俳優はハッピーエンドになるシナリオに従って演技をしているからなのです。
これは決定論だと言えます。
な〜んだ……
現実の世界に生きる自分にもハッピーエンドとなるシナリオがあれば、自分もハッピーエンドになることができるじゃないか!自分がいまだにハッピーエンドになる見通しが立っていないのは、ハッピーエンドになるシナリオがないためではないか?……
自分が自分をハッピーエンドにしようとしていなかっただけなんだ……
ハッピーエンドになるシナリオがないために、とても長い劇を即興のアドリブでずっと演じ続けざるを得なかったのです。
そのシナリオは誰が書いてくれるのでしょうか?
他に書いてくれそうな人がいない場合は、自分自身でシナリオを書く必要があることに気づきます。
自分がハッピーエンドになるシナリオを自分で書いて自分で演じればよいのだ!
と気づいたところまではよかったのですが……
複雑で不確実性が高い現実の人生のシナリオ
映画のシナリオはパーフェクトです。
脚本家に想定外はありません。
主人公の行動と共演者の反応、その結果、経済の状況、共演者、社会環境、天候などすべてを予めパーフェクトに決めることができるのです。その結果、主人公は脚本家の意図する通りにハッピーエンドになるのです。
映画は閉じた世界であるということができます。
それに対して、自分が自分の人生の物語のシナリオを書いたとしても、自分以外の環境すべてをコントロールすることは到底できません。自分の行動、発言はシナリオに書き込むことができるものの、相手の反応、行動の結果はやってみない限りわからないのです。シナリオにないことがいくつも起こるでしょう。
実は自分自身がやろうとシナリオに書いたとしても自分がそれを実行するかどうかも怪しいものなのです。従って、自分の人生のシナリオを書いて演じたところで、その通りハッピーエンドになるとはとても思えません。現実の人生は想定外だらけです。
現実の人生は開いた世界です。
だから、自分の人生の物語のシナリオなんて書いても意味がない!
ハッピーエンドになる映画の主人公を観ても自分がそのマネをする気にならないのは、それがわかっているからなのです。
それでは、今まで通り、とても長い人生で即興のアドリブを演じ続けるしかないのでしょうか?
人生に対する3つのスタイルと描くべき人生の物語のシナリオ
ここで、あなたの人生に対するスタンスを確認してみましょう。
人生に対するスタイルを3つに分けてみましょう。人生に対するあなたのスタイルはどれですか?
🔹 とことん人生派
何ごとも計画してその通りにならなければ気が済まない。将来の計画もすでにきっちり立ててあるので、それにこだわって生きたい派
🔹 ほどほど人生派
将来のことを計画することができればそれに越したことはないが、その通りに行くとは思えない。少なくとも大きなリスクには備えた上でゆったりと生きたい派
🔹 成り行き人生派
将来のことは考えてもしょうがないし、窮屈だ。将来多少の浮き沈みはあっても今が幸せであればそれでよい。成り行きで生きたい派
価値観は人それぞれなので、自分のスタイルで生きればよいのですが、それぞれのスタイルを評価してみましょう。
とことん人生派は、現在よりも将来に価値をおいて生きるスタイルです。アリとキリギリスのイソップ寓話におけるアリ派ですね。
将来に起こりうるコトをよく考えて行動していますが、人生の不確実性を考えると、その通りに行く可能性は低く、計画が頓挫してしまう可能性が高いと言えます。不確実性を無視した厳密な独りよがりのスタイルは長続きしないでしょう。
成り行き人生派は、現在の価値を最大化するために将来を考えようとしない、あるいは考えても将来のために具体的に行動しないスタイルです。こちらは、キリギリス派であると言えます。人生の秋、冬に困る可能性は低くはありません。
残る選択肢は、ほどほど人生派です。
とことん人生派と成り行き人生派の問題点を考えると、消去法で残るのがこのほどほど人生派なのです。
将来の不確実性を認めた上で、コントロールすることができるリスクは予めコントロールした上で、その後はリスクの発生時に臨機応変に対応しようとするスタイルです。大きなダメージを被るリスクに対しては予め備えておくのが、ほどほど人生派のポイントです。
選択とは将来のあるべき姿を考えた上で今何をするかを決めることです。
映画の主人公がハッピーエンドになるのは、脚本家がすべてのシナリオをパーフェクトに決めることができるからです。そこには一分も不確実性がありません。
一方、現実の世界に起きる私たちは不確実性の中で人生の物語を書き続けなければなりません。
映画の脚本家のようにとことん人生派になることはできません。一方、成り行き人生派になるのが不安であれば、取るべきスタイルはほどほど人生派にならざるを得ないのです。
「ほどほど」と言いましたが、不確実性の大きい人生において「ほどほど」人生を送るのはそれほど容易なことではありません。
「ほどほど」は「上出来」と表現してもよいと思います。
ほどほど人生派はアリとキリギリスを合わせたアリギリス派だと言えます。
コントロールできることをコントロールするか、コントロールを放棄するか?
ほどほど人生派を生きるのはそれほど容易なことではないと言いましたが、少なくとも大きなリスクには備えておくために必要なのは、将来起こりうるリスク(変化)でコントロールすることができるリスクが何であるのかを知っていることです。
リスクにはコントロールすることができるリスクとコントロールすることができないリスクがあります。地震などの天災は人間のコントロール外です。一方、健康に大きな影響を及ぼす喫煙、食生活、運動。睡眠などの生活習慣、あるいは老後の生活資金のための貯蓄、良好な家族、友人関係の構築などはコントロールすることは可能です。
あなたは、今後の人生において起こりうるリスク(変化)をちゃんと知っているでしょうか?
それとも、なんとなく知っているレベルですか?
将来の大きなリスクを知り、備えたいと思われた場合は、Happy Ending カードがお役に立ちます。ほどほど人生派を選択する人にコントロールすべきリスクを教える助っ人になります。
あなたの人生に対するスタイルは何派ですか?……
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