WHY? 何のためのHappy ending !!

「マディソン郡の橋」から クロノス(時間)とカイロス(想い出)

「私は今とても元気ですが、そろそろ、(世間で言われるように)身辺整理しておくべき時期ではないかと思います。実は、あなた方に知ってほしいことが、とても大切なことがあるのです。私がこれを書いているのはそのためです。」

「マディソン郡の橋」文芸春秋社

「マディソン郡の橋」は5千万部の大ベストセラー。
クリント・イーストウッドとメリル・ストリープが主演した映画「マディソン郡の橋」は興業収入1億8千2百万ドルを上げたことからも、多くの人がこのストーリーを知り、共感していることがわかります。

舞台はマディソン郡にある屋根付きの橋のひとつであるローズマンブリッジ。
そこで出会ったふたりの人生のイメージは、わずかその4日間の想い出で決めてしまいました。
しかし、ふたりが死ぬまでそのイメージを持ち続けるためには、ローズマンブリッジの写真、二人が書き残した手紙、そして、フランチェスカが書いた3冊の革装のノートが必要だったのです。

過ぎ去った時間は誰にも取り戻すことができません。
明日はたちまち今日になり、今日はたちまち昨日に
来月はたちまち今月になり、今月はたちまち先月に
来年はたちまち今年となり、今年はたちまち昨年に

という具合に……誕生祝いを80回前後繰り返すと、私たちは人生の玄関を出て行くのですが、人生の玄関を出て行く際に、想い出がないと後悔するかもしれません。しかし、それを出ていく間際に気付いても手遅れです。

「マディソン郡の橋」から、Happy Endingに欠かすことのできない、想い出のある人生を紐解いてみましょう。

1.クロノス(量的時間)とカイロス(質的時間)

東日本大震災3.11の日に何をしていましたか?と聞いてみると、ほとんどの人がその日にどこで何をしていたかをこと細かく鮮明に語ることができますが、その前日の3月10日、あるいは翌日の12日に何をしていたを聞くと、何も答えられません。

本人にとって、想い出せない3月10日と12日は、どのような意味があるのでしょうか?意味があるのかないのかわからない日が圧倒的に多いということでしょう。しかし、日記とか写真があって、それを見た時に、過去のその日に何らかの意義を見出すことができたら、より楽しい人生になると思いませんか。

現代人の私たちはクロノス(量的時間)に追いかけられています。
カイロス(質的時間)はクロノス(量的時間)の対極にある考え方です。仕事に例えると、時間を切り売りしているつもりのサラリーマンにとって重要なのはクロノス(量的時間)です。就業時間と休暇が気になります。一方、事業主、あるいは芸術家・専門職業人にとって重要なのは、何時間働いたのかではなく、何を成したのかと言う点にあります。カイロスはそのような質的な時間を示しています。

経過したクロノス(量的時間)は取り戻すことはできませんが、カイロス(質的時間)は何回でも楽しむことができます。但し、想いだすことができれば、ですが……

3.11のような強烈な条件付けは滅多にあるものではありません。むしろ、自ら意識的にカイロスを条件付けすることを習慣化していれば、何回でもカイロス(質的時間)を楽しむことができて、豊かな人生を送ることができます。この際、私はカイロス(質的時間)をカイロス(想い出)と置き換えたいと思います。

今回は、「マディソン郡の橋」のエピソードから、カイロス(想い出)を生きている間に自分が何回も楽しむ方法と、死後に他者とカイロス(想い出)を共有する方法をHappy Ending の視点でお伝えします。

2.「マディソン郡の橋」のあらすじ

このblogは「マディソン郡の橋」のストーリーを追うことはしませんが、粗々こんな情景でした。興味のある人は小説を読むか映画を見てください。

米国アイオワ州マディソン郡に住んでいた農家の主婦であるフランチェスカとナショナルジオグラフィック誌の取材で屋根の付いた橋の撮影にやってきた写真家ロバートとの4日間にわたる愛(不倫情事?)の物語です。その4日間はフランチェスカの夫と息子、娘は牛の品評会に出かけて不在でした。4日間の情事の後、家族が帰宅する前にふたりは別れることになります。

ロバートの死後にフランチェスカは亡き恋人の遺品を受け取ります。ロバートは死後、火葬にされ、二人の思い出の場所であった屋根付橋であるローズマンブリッジで散骨されていました。

フランチェスカも、手紙と3冊のノートに書き留めた4日間の想い出とともに、死後、火葬にして灰をローズマンブリッジ撒いてほしいという遺言を残して亡くなり、それをふたりの子どもに託します。

3.カイロス(想い出)の外部記憶

クロノス(量的時間)は人間の記憶には残りません。時間の経過はそのままフローとして流れ出てしまい、記憶のストックとして残るのは、条件付けされたカイロス(想い出)です。しかしながら、カイロス(想い出)が残ると言っても、脳のデータ収納力には限りがあり、かつ綺麗に整理されて収納されているわけでもないので、その広い収納庫の中からひとつの記憶のストックを捜し出すのは容易ではありません。収納庫にしまっておいても探し出すことができなければ、はじめからないのと同じです。

そこで、何回も想い出を楽しむコツは自分の脳以外のところ(外部記憶)に想い出(カイロス)を呼び出すきっかけを残しておくことなのです。「マディソン郡の橋」にセットされている外部記憶を見ていきましょう。

4.「マディソン郡の橋」にセットされた外部記憶

ローズマン・ブリッジ(屋根付きの橋)

屋根付きの橋がきっかけでフランチェスカとロバートは出会い、そのひとつのローズマンブリッジで結ばれました。橋もいろいろですが、ありふれた鉄の橋ではなく、屋根付きの木造橋は外部記憶として残りやすいと思いませんか。しかも、ナショナルジオグラフィック誌に特集として掲載されたのですから。

カメラ

ロバートが愛用したNikonのカメラ。世界中をロバートとともに歩いたはずです。ローズマンブリッジとフランチェスカを撮ったのもこのカメラ。仕事の象徴としても掛け替えのないものですが、ロバートとフランチェスカを結びつけたのはこのカメラだと言ってよいでしょう。

メダル

ロバートは「フランチェスカ」と刻んだメダルを身に付けていていました。胸にぶら下げたメダルを見る度にフランチェスカを想い出したでしょう。フランチェスカも雑誌に掲載されたロバート写真をルーペで見てそれに気付いていました。

銀のブレスレット

ロバートが左腕にしていたプレスレット。初対面の時からフランチェスカには気になっていました。普段から身に付けていたものは形見分けとして受け手によっては価値を発揮します。

手紙 4通

◇ フランチェスカからロバートへ

2日目の晩にロバートを招待した手紙。ローズマン・ブリッジに留めておいたもの。


「白い蛾が羽を広げる時もう一度夕食においでになりたければ、今夜仕事が終わってからお寄りください。何時でも構いません。」

◇ ロバートからフランチェスカへ

・手紙(1965/9/10) 別れた直後に写真2枚、エッセイ(Z次元からの墜落)とともに

「フランチェスカ様、
写真を2枚同封しました。1枚は夜明けに牧場であなたを撮った写真です。私が気にいっているのと同じくらい、あなたにも気に入ってもらえると良いのですが。もう1枚は、あなたが貼り付けたメモを取り外す前の、ローズマンブリッジを撮ったものです。……」

・手紙(1978/8/16) 遺品とともに

「親愛なるフランチェスカ、
この手紙が無事あなたに届くように祈っています。あなたがこれを受け取るのがいつになるかは分かりません。いずれにせよ、私が死んだ後になるはずです。私は今65歳、道を聞くためにお宅の私道に車を乗り入れて、あなたと出会ってから、今日でちょうど13年になります。……」

◇ フランチェスカから子へ

・手紙(1987/1/7)

「親愛なるキャロリンとマイケル、
「私は今とても元気ですが、そろそろ、(世間で言われるように)身辺整理しておくべき時期ではないかと思います。実は、あなた方に知ってほしいことが、とても大切なことがあるのです。私がこれを書いているのはそのためです。……」

3冊の革装ノート(4Days)

フランチェスカが夫のリチャードが亡くなった年に購入した3冊の革装ノート。ロバートとの4日をストーリーとして綴りました。人生全体のイメージはカイロス(想い出)が決めるのだと言うことを、この3冊のノートが語っていると言えないでしょうか。

このストーリーが、ロバートとフランチェスカの死後、本人たちが語ることなく紡がれたことを考えると、これらの外部記憶がなければ、そもそも、あったストーリーはなかったことになるのです。一部が欠けたとしても、ストーリーの意味合いは相当変わってくるでしょう。

あなたの葬儀の参列者に自分をどのように見て欲しい?

あなたの葬儀において弔辞を述べる人は、あなたのことをどれだけ知っているでしょうか?知らなければ、人違いな弔辞になるでしょう。たとえ家族であったとしても、あなたのことをよく知っているとは限りません。それをその参列者から見えないあなたが見て、聞いているとしたら……

それはあなたが遺す外部記憶次第です。まだ時間が残されているとすれば、外部記憶を整理することができるでしょうし、さらに今後新たなエピソードを作って、人生全体のストーリーを書き換えることもできるかもしれません。

そんなことはどうでもよいと思っている人はここまで読んでいないと思うので。

5.外部記憶の作り方

外部記憶を残すポイントは2つです。まずは、忘れてしまっているカイロス(想い出)の発掘です。これはしばらく開いていないアルバムに埋もれています。

次に、カイロス(想い出)を意図的に残すことです。「マディソン郡の橋」はカメラマンのロバートが撮影しようとした橋と結果として撮ったフランチェスカが外部記憶の象徴となっているように、文字よりは画像(写真)、映像(動画)が情報量が多く、かつ取得と保存が容易です。それらは素人でもスマホで手軽に残すことができるようになりました。

カイロス(質的時間)を想い出すと幸せになる!

◇ カイロス(想い出)を想い出すきっかけとなる外部記憶を残す。
◇ 今後の新たなカイロスを企画して意図的に外部記憶に残す。
◇ 残した外部記憶を繰り返し楽しむ。
◇ 残した外部記憶を大切な人に残して楽しんでもらう。

今後、Happy Ending プランナー会員が提供する想い出すと幸せになるサービスを順次ご案内していきます。

最後に、残された時間にどのようなカイロス(想い出)を創ろうか迷っている人はHappy Ending カードをプレイしてみてください。「マディソン郡の橋」以上のストーリーのヒントが見つかるかもしれませんよ。