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段取り上手! 親が介護施設に行く前の段取り(Logistics)とは?

何ごとも、段取り八分と言われています。

大学の受験生のHappy Ending は志望校の合格です。
そのために、志望校を決め、過去問を研究し、予備校に通い、模擬テストで合格可能性を確認しながら、受験日に備えています。

さらに、学費についても親が負担できる金額と、借りることができる奨学金にアルバイトの収入なども合わせて現実的に計算しています。

さらには、インフルエンザに罹らないように健康にも気を配ります。

結果としては、このように上手に段取りをするスキルを有する学生が志望校に合格するのです。受験は試験日当日に最高の得点を獲得する段取りの勝負だと言えます。

段取りを英語に置き換えると、単なるScheduleではありません。必要な時に必要な資源を集中するLogisticsなのです。

逆の見方をすれば、受験は学生に段取りのスキルを磨く最高のトレーニングであると言えます。段取りは合格後の大学においても、社会に出てからも人間として生きていくのに不可欠のスキルだからです。

介護の段取り

何ごとも段取り八分だとすれば、人生のフィナーレである「死」を飾るために必要な段取りは何でしょうか。

今回のテーマである介護は、人生のフィナーレの前座です。

段取り下手な人は、自分の老後に苦労していますが、それまでの人生の段取りはそれなりにやってきたと思われる人が少なくありません。

やはり、往年の力が衰えた老後の段取りには誰かの手助けが必要なのです。

産み育ててもらった親の面倒を子が見るのは、返報性から考えても、やがて自分が介護を受ける立場になることを考えても、サイクルとして自然であり、想定内のはずですが、そう思っていない人は少なくないようです。

如何せん、家族はDNAが繫ぐ超長期のチームプレイなのです。

そうは言っても、親の介護をカバーする子は、短期的には自分の生活プラス親の介護で大きな負担を負うことになりますが、その負担を、早めの段取りによって、軽くすることができます。

そのポイントを、高齢者のコンサルティングの経験からお伝えします。親のことが心配になってきた人には、お役に立つ情報だと思いますので、続きをご覧ください。

火を見るよりも明らかなリスク

階段とお年寄り

元気だった親も、ひとりで自宅で生活するのが難しくなる時が間違いなくやってきます。

それはフレイルが原因の場合と、認知機能の低下が原因の場合に加えてその両方が原因の場合があります。

時々転倒するようになった……
杖を付いて歩くようになった……
孫の名前を忘れて聞くようになった……
10分前の話をくりかえすようになった……

このような症状が出て来たら、ひとりで生活することができなくなりましたよというサインです。

昔、親子三代で同じ屋根の下に住んできた時代は、同居する誰かが面倒をみることができたのですが、核家族化した現代は、親がお一人様で暮らしているケースが圧倒的に多くなりました。

そのような事象を見た子(還暦近い)もそろそろ親の介護を考えなくてはと思いつつも、まだもう少し大丈夫だろうと、せっかくの気づきを先送りしてしまいます。

忙しい中で、手間と時間はかかりますし、かかる費用も心配です。

ここで、リスクを大きくするのは、考えたくないことは考えないという陥りがちな「街灯の下の鍵探し」です。その後、着手を先送りしている間に、親が突然の骨折や病気入院などによって、自宅でひとりで生活ができないと判断されて、介護施設に行かざるを得なくなるケースが少なくないのです。

このように、突然訪れる親の介護への段取りの遅れは、親子の双方に大きな負担を強いることになるので注意が必要です。

締切が予定できない人生のフィナーレの段取り

ほとんどの小学生は夏休みの宿題を最終日になんとかやりきることができるのに対して、多くの大人が人生の宿題をやらずに死んでしまう原因のひとつは締切です。

小学生にとっての、夏休みの宿題の締切である新学期の始業式の月日は不動のものですが、高齢者にとっての、人生の宿題の締切である死は、いつやってくるかわかりません。

さらに、生きてさえいれば、人生の宿題ができるということはなく、フレイルや認知機能の低下は宿題の完成を著しく阻害してしまいます。人生のフィナーレを飾りたい、あるいは子が飾らせたいと思うのであれば、人生の宿題の締切は自主的に早めに設定しておくべきです。

人生の締切日の自主設定は、終末期の段取り上手の大前提です。

詳しくは☞ バケットリストとは? 間に合わない理由を「7つの習慣」から

介護施設に行く前にやっておくべき段取り

ピンピンコロリで死にたい人が多いと言いますが、その意向に反して、介護と療養が必要となる人が大半です。
ケガや病気の入院の後に、退院調整で老人ホームに行かざるを得ない場合には、利用料金の支払いさえ計算をする余裕もない場合があります。介護施設に行くために最低限必要なLogisticsは以下の3点です。

<1>財産目録の作成

資金が有限である以上、親の介護と病気療養にどのくらいのコストを掛けることができるのかを予め知っておかなければ、段取りはつきません。
下記について子は親と共有しておく必要があります。

(1)預貯金・有価証券
(2)所有不動産の評価額
(3)年金の受給額、生命保険金
(4)その他不動産収入等

<2>公正証書5点セット

実の子であるとは言っても、親名義の財産を勝手に処分することはできません。法的に権限を受けておく必要があります。有効な契約書にするためには、法律の専門家である公証人が作成する公正証書が適切です。任意後見契約のように公正証書で作らなければ効力がない契約もあります。

終末期には2つの関所があります。
死の関所は誰でも認識していますが、軽視されているのが、意思能力の関所です。認知症700万人と言われますが、自分の財産管理や法律行為ができずに生きている可能性の存在に気づいて備えている人はごくわずかです。医学の進歩がその期間を助長しています。

(1)財産管理委任契約
寝たきりとなり、判断はできるものの、銀行や役所に行けない場合の包括的な委任契約です。
(2)任意後見契約
意思能力が減少、あるいは喪失した場合には実務だけでなく、判断から任せる契約です。
(3)医療に関する選択
治療について本人が判断できない場合に、後見人にその権限はないと考えられています。そこで、代理意思表示者と延命治療の要否について決めておきます。
(4)死後事務委任
施設からの遺体の引き取り、火葬、納骨、役所への各種届け出事項など、子などやってくれる人がいない場合に後見とは別途契約しておく必要があります。
(5)遺言
法定相続人に法定相続分以外の内容で相続させたい場合には遺言が必要です。

この5点セットをピンピンしている間に作る必要があります。親本人が意思能力を失った後に契約をすることはできません。

公正証書5点セットについてはこちらのウエビナー「公正証書5点セット five-gear」をご覧ください。(有料¥2,200)

<3>介護施設の選定

親の財産目録ができると、介護施設を事前に調査することができます。要介護度に応じたサービス、利用料、場所等から、いつ利用することになっても、速やかに入所することができるようにいくつか候補の目処を付けておきましょう。

申し込みが可能な施設であれば、申し込んでウエイティングをします。必要であれば、本人に体験入所をしてもらうのも一法です。

以上の3点を事前に抑えておけば、親の介護の段取りはほぼ完成です。

「縁起の悪い」ことを親とどう話すか

話ができないというのが、親子の間のクリティカルネックです。

特に相続をはじめとして、死と介護について言い出すことは「縁起が悪く」難しいと感じられています。
その傾向は、親子、配偶者間のように親しい間こそ、その傾向が高まります。

「縁起が悪い」と両者がひるんでいると、介護に対する段取りは放置され、必要な時に必要なLogisticsが整わない残念な結果を招きます。

縁起の悪いことの相談を阻害する要因は以下の通りです。

1.本人は自分が認知症になるとか、死を考えたくない。

2.介護施設には行きたくない。自宅で今まで通り過ごしたい。

3.財産は最後まで自分で管理したい。

4.お互い介護や死は未経験であるため、何をどのように備えておけばよいかわからない。

5.人から言われると、やりたくなくなる人間の本性。特に身近な人からの意見に対してその傾向が強くなる。

 

1.子に対する信用の醸成

まずは子が、親が今後経験するであろう介護をはじめとした死までの人生におけるリスクと、それに対して必要な段取りを理解しておく必要があります。それらを把握して説明できる状況が相談の大前提であり、親が子を信頼できるか否かの分かれ目です。

2.親が自分で気づく仕掛け

人に言われるのが嫌だ。言わんや子にはという親には自分で必要性に気づいてもらうしかありません。簡単に今後に必要な段取りを自分で気づく仕掛けを紹介するのが効果的です。

上記のポイント2点にHappy Ending カードがお手伝いすることができます。
Happy Ending カードはセカンドライフのシミュレーションをセルフプレイで体験できるカードゲームです。詳しくは下記をご覧ください。

Happy Ending プランナーとプレイする → Happy Ending プランナー
ウエビナー(Happy Ending School) → Happy Ending カード体験会

親と子がHappy Ending カードを共通のボキャブラリーとして相談をすすめることができれば、スムーズな段取りが実現するはずです。

要約すると

1.介護も死も段取り八分(必要な時に必要なものをLogistics)

2.介護の段取り八分は下記3点の早期準備

<1>親の財産目録の作成
<2>公正証書5点セットの作成
<3>介護施設事前調査の実施

3.縁起の悪い話をする際に、子が親から信用されるために、Happy Ending に必要な段取りの知識を持つ必要がある。

4.人に言われるのが嫌な親にはセルフプレイのHappy Ending カードのプレイすすめる。

人生の最終局面で心身共に弱った親を大切にするためには、事前の段取りが八分と書きましたが、9分かもしれません。

光陰矢の如し。思い立ったが吉日です。